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오구라 백인일수 일본어 전문 모음

일본어 공부/기타

2018. 12. 10.

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백인일수 제1수

이미지 출처: Wikimedia Commons

저작권 보호 기간 만료


오구라 백인일수 일본어 전문(全文)입니다. 원문에 번호를 붙여서 순서대로 적었습니다. 각 수마다 네 줄로 적었는데 내용은 다음과 같습니다.

번호 저자(읽는 방법)

한자 포함 표기

역사적 가나표기법(歷史的假名遣)에 의한 표기

현대 가나표기법


참고로 읽는 방법에 관해 통일된 의견이 없는 경우도 있습니다. 예를 들어 1수의 かりほ는 かりほ로 읽어야 하는지 かりお로 읽어야 하는지 책마다 다르고 사람마다 의견이 다릅니다. 여기서는 제가 리뷰한 적 있는 天野慶의 책 『エピソードでおぼえる!百人一首おけいこ帖』를 기준으로 합니다 [리뷰 링크].


그리고 익히 아시겠지만 현대가나표기법에서 「は」로 표기된 것 중에 계조사(係助詞) 「は」는 「わ」로 읽어야 합니다. 예를 들어 1수에서 「わが衣手は (내 옷 소매는)」 부분은 현대 가나표기로 「わがころもでは」라고 적지만 발음할 때에는 「わがころもでわ」로 읽어야 합니다.


원문 표기 중에 ゝ표기를 쓴 경우도 있습니다. 오도리지(踊り字)라고 하여 앞의 글자를 반복하겠다는 표시입니다. 일본어 공부를 하실 때 많이 보셨을 々 기호와 같은 용도인데 々는 한자에, ゝ는 히라가나에, ヽ는 가타카나에 씁니다. 반복 부호, 첩자표라고 부르는 경우도 있습니다.


마지막으로, 사람이 타이핑한 것이기 때문에 오타가 존재할 수 있습니다. 많은 지적 부탁드립니다.


001 天智天皇 (てんじてんのう)

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ

あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ

あきのたの かりおのいおの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ


002 持統天皇 (じとうてんのう)

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

はるすぎて なつきにけらし しろたへの ころもほすてふ あまのかぐやま

はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま


003 柿本人麻呂 (かきのもとのひとまろ)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む

あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ

あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん


004 山辺赤人 (やまべのあかひと)

田子の浦に 打ち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ

たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ

たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ


005 猿丸大夫 (さるまるだゆう)

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき

おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき

おくやまに もみじふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき


006 大伴家持 (おおとものやかもち)

鵲の 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける

かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける

かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける


007 阿部仲麿 (あべのなかまろ)

天の原 振り放け見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも

あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも


008 喜撰法師 (きせんほうし)

我が庵は 都の巽 しかぞ住む 世をうぢ山と 人は言ふなり

わがいほは みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢやまと ひとはいふなり

わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはいうなり


009 小野小町 (おののこまち)

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に

はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに

はなのいろは うつりにけりな いたずらに わがみよにふる ながめせしまに


010 蝉丸 (せみまる)

これやこの 行くも帰るも わかれては 知るも知らぬも 逢坂の関

これやこの ゆくもかへるも わかれては しるもしらぬも あふさかのせき

これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おうさかのせき


011 参議篁 (さんぎたかむら)

わたの原 八十島かけて 漕ぎいでぬと 人にはつげよ あまのつり舟

わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね

わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね


012 僧正遍昭 (そうじょうへんじょう)

天つ風 雲の通ひ路 ふきとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ

あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん


013 陽成院 (ようぜいいん)

つくばねの みねよりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる

つくばねの みねよりおつる みなのがは こひぞつもりて ふちとなりぬる

つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる


014 河原左大臣 (かわらのさだいじん)

陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに みだれそめにし われならなくに

みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれそめにし われならなくに

みちのくの しのぶもじずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに


015 光孝天皇 (こうこうてんのう)

君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ

きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ

きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ


016 中納言行平 (ちゅうなごんゆきひら)

立ちわかれ いなばの山の みねに生ふる まつとし聞かば いま帰り来む

たちわかれ いなばのやまの みねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ

たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん


017 在原業平朝臣 (ありわらのなりひらあそん)

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは

ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは


018 藤原敏行朝臣 (ふじわらのとしゆきあそん)

住江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ

すみのえの きしによるなみ よるさへや ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ

すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん


019 伊勢 (いせ)

難波潟 みじかき葦の ふしの間も あはでこの世を すぐしてよとや

なにはがた みじかきあしの ふしのまも あはでこのよを すぐしてよとや

なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや


020 元良親王 (もとよししんのう)

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

わびぬれば いまはたおなじ なにはなる みをつくしても あはむとぞおもふ

わびぬれば いまはたおなじ なにわなる みをつくしても あわんとぞおもう


021 素性法師 (そせいほうし)

いま来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ちいでつるかな

いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな

いまこんと いいしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな


022 文屋康秀 (ふんやのやすひで)

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ

ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ

ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん


023 大江千里 (おおえのちさと)

月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど

つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど

つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど


024 菅家 (かんけ)

このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに

このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに

このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに


025 三条右大臣 (さんじょうのうだいじん)

名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな

なにしおはば あふさかやまの さねかづ\ら ひとにしられで くるよしもがな

なにしおわば おうさかやまの さねかずら ひとにしられで くるよしもがな


026 貞信公 (ていしんこう)

小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ

をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ

おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん


027 中納言兼輔 (ちゅうなごんかねすけ)

みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ

みかのはら わきてながるる いづみがは いつみきとてか こひしかるらむ

みかのはら わきてながるる いずみがわ いつみきとてか こいしかるらん


028 源宗于朝臣 (みなもとのむねゆきあそん)

山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば

やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば

やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば


029 凡河内躬恒 (おおしこうちのみつね)

心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花

こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな

こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな


030 壬生忠岑 (みぶのただみね)

有明の つれなく見えし わかれより 暁ばかり うきものはなし

ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし

ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし


031 坂上是則 (さかのうえのこれのり)

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に ふれる白雪

あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき

あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき


032 春道列樹 (はるみちのつらき)

山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ もみぢなりけり

やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり

やまがわに かぜのかけたる しがらみは ながれもあえぬ もみじなりけり


033 紀友則 (きのとものり)

ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ

ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづごころなく はなのちるらむ

ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しずこころなく はなのちるらん


034 藤原興風 (ふじわらのおきかぜ)

誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに

たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに

たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに


035 紀貫之 (きのつらゆき)

人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける

ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける

ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける


036 清原深養父 (きよはらのふかやぶ)

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ

なつのよは まだよひながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらむ

なつのよは まだよいながら あけぬるを くものいずこに つきやどるらん


037 文屋朝康 (ふんやのあさやす)

白露に 風のふきしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける

しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける


038 右近 (うこん)

忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな

わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな

わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな


039 参議等 (さんぎひとし)

浅茅生の をののしの原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき

あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき

あさぢうの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこいしき


040 平兼盛 (たいらのかねもり)

しのぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで

しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで

しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで


041 壬生忠見 (みぶのただみ)

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか

こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか

こいすちょう わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか


042 清原元輔 (きよはらのもとすけ)

契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは

ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは

ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すえのまつやま なみこさじとは


043 権中納言敦忠 (ごんちゅうなごんあつただ)

逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり

あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり

あいみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもわざりけり


044 中納言朝忠 (ちゅうなごんあさただ)

逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも うらみざらまし

あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし

あうことの たえてしなくば なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし


045 謙徳公 (けんとくこう)

あはれとも 言ふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな

あはれとも いふべきひとは おもほえで みのいたづらに なりぬべきかな

あわれとも いうべきひとは おもおえで みのいたずらに なりぬべきかな


046 曽祢好忠 (そねのよしただ)

由良のとを わたる舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな

ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ ゆくへもしらぬ こひのみちかな

ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな


047 恵慶法師 (えぎょうほうし)

八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり

やへむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり

やえむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり


048 源重之 (みなもとのしげゆき)

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな

かぜをいたみ いはうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな

かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな


049 大中臣能宣朝臣 (おおなかとみのよしのぶあそん)

みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ

みかきもり ゑじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ

みかきもり えじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもえ


050 藤原義孝 (ふじわらのよしたか)

君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな

きみがため をしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな

きみがため おしからざりし いのちさえ ながくもがなと おもいけるかな


051 藤原実方朝臣 (ふじわらのさねかたあそん)

かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを

かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを

かくとだに えやわいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもいを


052 藤原道信朝臣 (ふじわらのみちのぶあそん)

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな

あけぬれば くるるものとは しりながら なほうらめしき あさぼらけかな

あけぬれば くるるものとは しりながら なおうらめしき あさぼらけかな


053 右大将道綱母 (うだいしょうみちつなのはは)

なげきつつ ひとりぬる夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る

なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかはしる

なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかわしる


054 儀同三司母 (ぎどうさんしのはは)

わすれじの 行く末までは かたければ 今日をかぎりの 命ともがな

わすれじの ゆくすゑまでは かたければ けふをかぎりの いのちともがな

わすれじの ゆくすえまでは かたければ きょうをかぎりの いのちともがな


055 大納言公任 (だいなごんきんとう)

滝の音は 絶えてひさしく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ

たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ

たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なおきこえけれ


056 和泉式部 (いずみしきぶ)

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな

あらざらむ このよのほかの おもひでに いまひとたびの あふこともがな

あらざらん このよのほかの おもいでに いまひとたびの おうこともがな


057 紫式部 (むらさきしきぶ)

めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな

めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よはのつきかな

めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな


058 大弐三位 (だいにのさんみ)

有馬山 猪名の笹原 風ふけば いでそよ人を 忘れやはする

ありまやま ゐなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする

ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやわする


059 赤染衛門 (あかぞめえもん)

やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月をみしかな

やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな

やすらわで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな


060 小式部内侍 (こしきぶのないし)

大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立

おほえやま いくののみちの とほければ まだふみもみず あまのはしだて

おおえやま いくののみちの とおければ まだふみもみず あまのはしだて


061 伊勢大輔 (いせのたいふ)

いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな

いにしへの ならのみやこの やへざくら けふここのへに にほひぬるかな

いにしえの ならのみやこの やえざくら きょうここのえに においぬるかな


062 清少納言 (せいしょうなごん)

夜をこめて 鳥のそらねは はかると よに逢坂の 関はゆるさじ

よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ

よをこめて とりのそらねは はかるとも よにおうさかの せきはゆるさじ


063 左京大夫道雅 (さきょうのだいぶみちまさ)

いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな

いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな

いまはただ おもいたえなん とばかりを ひとずてならで いうよしもがな


064 権中納言定頼 (ごんちゅうなごんさだより)

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木

あさぼらけ うぢのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ

あさぼらけ うじのかわぎり たえだえに あらわれわたる せぜのあじろぎ


065 相模 (さがみ)

うらみわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそをしけれ

うらみわび ほさぬそでだに あるものを こいにくちなん なこそおしけれ


066 前大僧正行尊 (さきのだいそうじょうぎょうそん)

もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに しる人もなし

もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし

もろともに あわれとおもえ やまざくら はなよりほかに しるひともなし


067 周防内侍 (すおうのないし)

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそをしけれ

はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かいなくたたん なこそおしけれ


068 三条院 (さんじょういん)

こころにも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな

こころにも あらでうきよに ながらへば こひしかるべき よはのつきかな

こころにも あらでうきよに ながらえば こいしかるべき よわのつきかな


069 能因法師 (のういんほうし)

あらしふく 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の にしきなりけり

あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり

あらしふく みむろのやまの もみじばは たつたのかわの にしきなりけり


070 良暹法師 (りょうぜんほうし)

さびしさに 宿を立ちいでて ながむれば いづこもおなじ 秋の夕暮れ

さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづこもおなじ あきのゆふぐれ

さびしさに やどをたちいでて ながむれば いずこもおなじ あきのゆうぐれ


071 大納言経信 (だいなごんつねのぶ)

夕されば 門田の稲葉 おとづれて 葦のまろやに 秋風ぞふく

ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく

ゆうされば かどたのいなば おとずれて あしのまろやに あきかぜぞふく


072 祐子内親王家紀伊 (ゆうしないしんのうけのきい)

音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ

おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ

おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ


073 権中納言匡房 (ごんちゅうなごんまさふさ)

高砂の 尾の上の桜 さきにけり 外山の霞 たたずもあらなむ

たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ

たかさごの おのえのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなん


074 源俊頼朝臣 (みなもとのとしよりあそん)

うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは いのらぬものを

うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを

うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを


075 藤原基俊 (ふじわらのもととし)

ちぎりおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり

ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり

ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あわれことしの あきもいぬめり


076 法性寺入道前関白太政大臣 (ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん)

わたの原 漕ぎいでて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波

わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐにまがふ おきつしらなみ

わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもいにまごう おきつしらなみ


077 崇徳院 (すとくいん)

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ

せをはやみ いはにせかるる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ

せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすえに あわんとぞおもう


078 源兼昌 (みなもとのかねまさ)

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守

あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよねざめぬ すまのせきもり

あわじしま かようちどりの なくこえに いくよねざめぬ すまのせきもり


079 左京大夫顕輔 (さきょうのだいぶあきすけ)

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ

あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ

あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいずるつきの かげのさやけさ


080 待賢門院堀河 (たいけんもんいんのほりかわ)

ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ

ながからむ こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ

ながからん こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもえ


081 後徳大寺左大臣 (ごとくだいじのさだいじん)

ほととぎす 鳴きつるかたを ながむれば ただ有明の 月ぞのこれる

ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる

ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる


082 道因法師 (どういんほうし)

思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり

おもひわび さてもいのちは あるものを うきにたへぬは なみだなりけり

おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり


083 皇太后宮大夫俊成 (こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい)

よのなかよ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる

よのなかよ みちこそなけれ おもいいる やまのおくにも しかぞなくなる


084 藤原清輔朝臣 (ふじわらのきよすけあそん)

ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき

ながらえば またこのごろや しのばれん うしとみしよぞ いまはこいしき


085 俊恵法師 (しゅんえほうし)

夜もすがら もの思ふころは 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり

よもすがら ものおもふころは あけやらで ねやのひまさへ つれなかりけり

よもすがら ものおもうころは あけやらで ねやのひまさえ つれなかりけり


086 西行法師 (さいぎょうほうし)

なげけとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな

なげけとて つきやはものを おもはする かこちがほなる わがなみだかな

なげけとて つきやわものを おもわする かこちがおなる わがなみだかな


087 寂蓮法師 (じゃくれんほうし)

村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ

むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ

むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆうぐれ


088 皇嘉門院別当 (こうかもんいんのべっとう)

難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき

なにはえの あしのかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや こひわたるべき

なにわえの あしのかりねの ひとよゆえ みをつくしてや こいわたるべき


089 式子内親王 (しょくしないしんのう)

玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば しのぶることの 弱りもぞする

たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする

たまのおよ たえなばたえね ながらえば しのぶることの よわりもぞする


090 殷富門院大輔 (いんぷもんいんのたいふ)

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色は変はらず

みせばやな をじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかはらず

みせばやな おじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかわらず


091 後京極摂政前太政大臣 (ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん)

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに ころもかたしき ひとりかも寝む

きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ

きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねん


092 二条院讃岐 (にじょういんのさぬき)

わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし

わがそでは しほひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし

わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし


093 鎌倉右大臣 (かまくらのうだいじん)

世の中は つねにもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも

よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのをぶねの つなでかなしも

よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのおぶねの つなでかなしも


094 参議雅経 (さんぎまさつね)

み吉野の 山の秋風 小夜ふけて ふるさとさむく 衣うつなり

みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり

みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり


095 前大僧正慈円 (さきのだいそうじょうじえん)

おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめのそで

おほけなく うきよのたみに おほふかな わがたつそまに すみぞめのそで

おおけなく うきよのたみに おおうかな わがたつそまに すみぞめのそで


096 入道前太政大臣 (にゅうどうさきのだいじょうだいじん)

花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり

はなさそふ あらしのにはの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり

はなさそう あらしのにわの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり


097 権中納言定家 (ごんちゅうなごんていか)

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ

こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ

こぬひとを まつほのうらの ゆうなぎに やくやもしおの みもこがれつつ


098 従二位家隆 (じゅにいいえたか)

風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける

かぜそよぐ ならのをがはの ゆふぐれは みそぎぞなつの しるしなりける

かぜそよぐ ならのおがわの ゆうぐれは みそぎぞなつの しるしなりける


099 後鳥羽院 (ごとばいん)

人も惜し 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は

ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは

ひともおし ひともうらめし あじきなく よをおもうゆえに ものおもうみは


100 順徳院 (じゅんとくいん)

百敷や ふるき軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり

ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほあまりある むかしなりけり

ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なおあまりある むかしなりけり

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